唯一無二の価値を裏付けるNFTは、Web3.0の技術の中でもっとも事例が多く、さまざまな分野において活用が進んでいる領域だといえる。では現在、NFTの技術は人々にどこまで理解され、そして浸透しているのだろうか。
ここでは、今後より広く利用できるように、NFTを技術的側面から一歩踏み込んで解説する。NFTのビジネス活用を検討する企業は、ぜひご参考ください。
近年、注目を集めるNFTは、多くの領域でビジネスへの活用が実施・検討されている状況だ。ここでは、そもそもNFTがどのようなものなのかについて、おさらいしておこう。
さらにNFTはプログラマビリティを有しており、さまざまな情報や機能を追加できる点も特徴といえます。 なお、NFTを活用するおもなメリットは、以下の通りです。
NFTの代替不可能性という特徴は、各NFTはユニークであり、まったく同じものが存在しないことを意味する。NFTを実現するための技術でメインとなるものがブロックチェーンだ。ここでは、ブロックチェーンの概要と種類、歴史、最新情報を紹介する。
2-1:ブロックチェーンの概要と種類ブロックチェーンのアイデアは、実は1991年から既に存在していた。ブロックチェーンが広く注目されるようになったのは、2008年にサトシ・ナカモト(正体不明の人物またはグループ)が、暗号通貨ビットコインを実現する手段として、ブロックチェーンの論文を発表したことがきっかけだ。 ブロックチェーンにより、ビットコインは非中央集権的で信頼性のある取引ネットワークを実現した。
その後、イーサリアムはブロックチェーンを拡張し、任意のプログラムを帳簿に載せる機能(スマートコントラクト)を実装。スマートコントラクトのプログラムをブロックチェーン上の帳簿に組み込むことで、銀行業務や役所業務、IoTまで幅広い分野でブロックチェーン技術が活用されるようになった。
2-3:ブロックチェーンの最新情報近年、ブロックチェーンは世界中で活用され、依然注目を集めている。米国の議員らが、SECゲンスラー委員長に対して、現物ビットコインETFの承認を要請している。大手運用会社(例: ブラックロック)は、ビットコイン・マイニングへの投資を増加させているそうだ。
日本においても、東京ゲームショウ2023でCROOZ Blockchain Lab株式会社と株式会社gumiが、ブロックチェーンゲームについての合同記者発表会が開催した。またコンバースジャパンが、3Dアバターコレクション「MetaSamurai」とコラボした「ワンスター」50周年記念3DアバターNFTを販売予定だ。
さらに近年は、新興のブロックチェーンであるSolanaやAvalancheや、レイヤー2と呼ばれる技術も登場しはじめている状況である。次章で各技術について解説する。
※この記事が書かれたのは2023年10月。
ここでは、最新のブロックチェーンであるSalanaとAvalanche、レイヤー2について、技術面から深堀する。
3-1:SolanaSolana(ソラナ)は、2020年にローンチされたレイヤー1のブロックチェーンだ。高いスケーリング性能と、ユーザーフレンドリーなアプリケーションを提供する。
Solanaは1秒あたり50,000を超えるトランザクションを処理できる点が特徴だ。また独自のコンセンサスアルゴリズムである「プルーフオブヒストリー(PoH)」を採用しており、高いスケーリング性能も実現している。
さらにSolanaのトランザクション手数料は、ビットコインやイーサリアムに比べて非常に安価である。
3-2:AvalancheAvalanche(アバランチ)は、高いスループットと低い遅延を提供するブロックチェーンプラットフォームだ。このオープンソース・プラットフォームは、高速でコスト効率の良いトランザクションを実現し、分散型アプリケーション(dApp)の構築に適している。
Avalancheは独自のコンセンサスアルゴリズムを採用しており、1秒間に最大で4,500のトランザクションを処理できる卓越したスケーリング能力が特徴だ。また、高い互換性を持ち、イーサリアムのdAppをAvalanche上で利用でき、さらにネットワーク内のサブネットを利用して独自のブロックチェーンを構築することが可能である。
Avalancheは一部で「イーサリアム・キラー」として注目を浴び、数多くのプロジェクトが開発を進めている。
3-3:レイヤー2レイヤー2は、ブロックチェーンのスケーリング課題を解決するために開発された追加の層だ。レイヤー1ブロックチェーンからトランザクション処理を引き受け、アプリケーションの拡張性を向上させる役割を果たす。おもな特徴は以下の通りだ。
NFTやブロックチェーンの活用が進む中、ハッキングによる被害も増加している。例えば2022年には、NFTゲーム運営者にハッキングが行われ、約750億円相当の仮想通貨が流出するという事件が発生した。また、ブロックチェーンの匿名性が失われることで、セキュリティ面での課題も浮き彫りになっている。 このような問題を防ぐためには、ブロックチェーン技術の専門家によるセキュリティ対策や、適切な暗号化技術の導入が必要だ。またユーザー側でも、強力なパスワードの設定や二段階認証の有効化などを行うことで、セキュリティを強化する必要がある。
環境への負荷NFT取引はブロックチェーン上で行われるため、膨大な電力を消費する。特にイーサリアムネットワークでは、マイニング作業による電力消費が大きい点は課題だ。 環境への影響を軽減するために、エコフレンドリーなブロックチェーン技術やカーボンオフセットサービスが模索されている。
発行コスト(手数料・ガス代)NFTの発行や取引には手数料(ガス代)が必要である。これはブロックチェーン上で処理を行うためにマイナーに支払われる報酬だ。 ガス代は取引量や処理速度に応じて変動し、NFTの購入や送信時に発生する。ガス代を安価にするためには、価格の安い時間帯を狙ったり、効率的なブロックチェーンを利用したりすることがポイントだ。
NFTの将来性NFTの将来性は、以下のような理由から非常に有望といわれている。
NFTが将来、異なるプラットフォーム間での移動が可能になることで、新たな市場が生まれ、ネット業界がさらに活性化すると考えられている。今後、NFTには実用的な機能が実装されていく見込みで、社会・経済のさまざまなシーンにおける利用が拡大し、それに伴い市場も回復・安定化する公算が高いだろう。さらに、近年のNFT市場拡大を受けて、投機性の高さにおいても注目が集まっている。
NFTは、ブロックチェーン技術を利用して、デジタルアセットの所有権を証明するためのトークンだ。NFTはユニークであるため、1つとして同じものが存在しないことを意味する。NFTは、おもにイーサリアムと呼ばれるブロックチェーン上で作られている。イーサリアムはスマートコントラクトというプログラムを使って、NFTの作成ややりとりを簡単にする点が特徴だ。
NFTやブロックチェーンには依然として課題やリスクが存在するのは事実である。しかし本記事で述べた通り、それらの課題を解決するために世界中で新たな技術が生まれ、その進化のスピードは加速度的に進んでいる。
そのため、NFTを効率よく活用するためには、一定のリテラシーと最新情報のキャッチアップが重要といえるだろう。(無論最新技術における法的リスクの確認も必要である。)
本記事をきっかけにNFT、およびブロックチェーン技術への理解が深まれば幸いだ。